公園の壁の煉瓦の端っこにいつの間にか書き殴られていたメモ/ホロウ・シカエルボク
だって同じことさ、「出てきたがってるもの」が自分の中にあるかどうかさ、そして、どんなやり方をすればそいつらが上手くスッキリと送り出してやることが出来るのか、書くことの理由なんてそれだけでいいはずなんだよ、そう思わないか?俺が思うにさ、やつらは、刃物の材質とか、その研ぎ方とか、曲がりの有無とか、形状の話ばっかりしてて、その重量を自分がちゃんと受け止めることが出来るのか、そいつできちんと急所を捕らえることが出来るのか、止めの一押しをすることが出来るのか―そんなことはひとつも考えちゃいないのさ―だから余計なことをベラベラ喋らないと採算が合わなくなるんだよ、覚えておくんだよ―すっきりした、引きやすい線だけが正しい線ってわけじゃないんだってことを。
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