こがね かたち/木立 悟
夜の街の海
壊れた灯り
階段は風
波の底の星
剥がしても剥がしてもきりが無く
いつか置き去りにされる光
野になるがいい
たなびくものすべて
ひとつの息のかたまり
羽ばたく淵
眩暈 四ツ足
崖の上の祭
巨きな機械の内の家
まばたきを巡るこがねの時間
こぼれつづける小さなものらが
花に霧に滴に変わる
静かすぎる暗がりに
暗がりの鼓動だけが在り
やがて空をゆくものの声が
まだらにまだらに径を照らす
忘れられた夜
見えない笑み
朝に昼に降りそそぎ
水を無数の水紋に満たす
あたりがゆうるり動くころ
季節の腔を埋める花
人はみな子と老人になり
光の泡をさまよってゆく
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