ガラパゴスの雨/ただのみきや
 
雨の幕間に耳目を伏して
乾いた水脈を手繰るように


生命の中核へ
堅い樹皮を穿つように
かつて滾り迸ったもの
跡形もなく
洞に ただ
ぬるく饐えた匂い


記憶――暗愚な夜
時折すっかり精の抜けた幻が
見知らぬ霊のよう
淡く闇を濁して


桑を齧る蚕のように
青く病んだ葉ばかり
むやみに食らい続けた
黒々とした水牛の角を持つものへと
だが言葉は剥離し続け
苦悶の抜け殻ばかり
 風に鳴っては 
    すぐに 砕け
空虚なリアリズムの歩行
乾いた笑いの白骨だったが
それすら見てくれを気にしていた


夢の羊膜を脱ぎ捨てる度
置き去りに
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