夢/
はるな
あなたはちっともうたわなくなった
かわりにわたしはピアノをひくよ
それにあなたは笑わなくなった
かわりにわたしはテレビをつけた
あなたはぜんぜん眠らなくなって
かわりにわたしがみる夢は
ドアのところにあなたが立って
何か書いている
なにかを追いかけるようにせわしなく指は動き
わたしは窓を背にあなたをみる、
窓のそとでは沈丁花と桜草と石楠花がいっぺんに咲いていて
だからこれが夢だとわかる
目をつむっていてもあなたのつめの先までをわかるみたいに
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