いにしえの夜の復権‐‐蜂飼耳『顔をあらう水』/kikikirin75
 
地形。そして富士の高嶺。『顔をあらう水』を通じて「日本」は立ち返り現れる。それは「火」と「日」という音の連なり、そして日本がアジアを指導するという「文明国」だったという歴史的事実のふたつの回路から導き出されていく。

あたえられた日本語のからだと交わり/交わって探索し飽くことはない/生きるものの心はいつもまるで新しい/(檻のなかにいるものがなぜそんな)/(楽になっているのか) 【34頁「顔をあらう水がほしい」】

ここで冒頭の「檻」とは「日本語」であることがわかる。詩人が日本語を使って詩を書くということの自覚がここにはある。文明という語を、無理に中央で仕切ってしまうと「文」と「明」であるよ
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