年度の終わり/葉leaf
どしゃぶりのように一日がはじけ、次の一日へと突き当てる船首を送り出している。葬られた市街地にはダンプの轟音が反転し、除染作業員は冷たい海を交換し始める。この一年間はいずれ無限に回帰し、そのたびごとに色を強めていくだろう。堤防には涙が打ち寄せ、犯罪の死骸が打ち上げられている。意味の季節、野の花にも過大な意義が打ち込まれ、人間たちも一つ一つの行為を美しく装飾し始める。正義と悪徳とが形を定めることなく混じり合いひそかに更新され、終着駅であり始発駅であるこの駅舎には喪失と決意ばかりが運送される。一人の男が仰向けに再びの生を待っており、もう一人の男は時間の層を異様に厚く着込んでいる。視力を失った目にはこの世で一番美しい風景が映り、聴力を失った耳にはこの世で一番豪奢な音楽が届けられる。歴史に打ち込む楔の密度はじっくりと高まり、彫り上げる輪郭のために美しい物語が運ばれる。今日、平凡で煩雑な事務が表面的に引き継がれ、非凡で単純な原理が根源的に回帰した。散逸していく社会の記録が極小の単位に押し込まれ投げ飛ばされ、人の面持ちはどこか疲れている。
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