壊れかけのベッド/倉科 然
 
6畳半の自室にはシングルのベッドが
横たわると鴨居と窓枠が幾何学模様を作る
壊れかけのベッドは身体を沈めると泣きながら私の体を抱いた

薬で虚ろな私の自我が溶け出して
ベッドに思想のしみをつける

人生に見切りをつけたあの日と同じ幾何学模様が目に入る
そうするたびにこのベッドの様に私の心は軋み
泣きながら自我を鎮める私は
結局あの日のままなのか

白々しくすぎる希死念慮を内包した毎日を
壊れかけのベッドの様に
軋んだ音を出しながら私は思想を吐き出し
静かに壊れていくのかもしれない
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