失われた回帰線/
乱太郎
失われた回帰線(そこは闇となって届かず
赤ん坊の泣き声だけが今でも響き
菜の花が一面に咲いて揺れる高原の陽炎
詩となる前の無数の言葉の散らばりがあって
繋げることがままならない僕がいる
感情という無色の糸が
無意味に流れていくだけの夜の静寂
山の頂上から突き上げられたかのように
満月が浮かんできて僕を嘲笑う
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