待ちわびて/ただのみきや
三月の終わり静かに雪原を食むもの
山々はうたた寝
雲の枕に青い敷布
芽吹く前の樹木が苔のように覆っていた
――チャコールグレイに粉砂糖
それもあっという間に銀のしずく
いくつもの涙が一つの悲しみを宿すように
みな同じ輝きを孕みながら落ちて
坂を上り切った路の脇に一本の木が待っていた
静止の中に躍動を解き放ち
踊り手は煌めきを滴らせる
黒々としたニケの腰のくびれ
骨だけの翼を非対称に傾けながら
あるいはフィギュアスケーター
腕を鳥のように広げ片脚を後ろに高く反り上げた姿勢
――ただ腕にも脚にも余分に関節があって節くれ立ち
腕も脚も先で分かれさらに分かれて無数の
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