残雪に鴉/ただのみきや
 
 残雪に
     鴉

   なにかを咥えて木の間に消え た

 黒々と濡れた道の上
枯れ枝のような足を引きずる音がする
淡く暈した空(から)の天(そら)

惜しまず捨てた
こどもは一年前のこどもを

繰り返すものたちの中で
帰らない後姿が鏡の奥で小さくなって
 
 残雪に
     鴉

帰らない旅の道すがら幾度となく巡り来る
名も無く区別も無く
   わたしは
       あなたの


      甘い水を
          求めて  闇路を通う
         望み見る 人の性か
       青白く灯した想い
  
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