虹色のさかな/そらの珊瑚
針穴に糸が通った遠い日から
ずいぶんいろんなものを縫ってきた
時には
縫われることを嫌って
ぴちぴち跳ねて
てんでに海へかえってしまう布もいたけれど
人の営みのかたわらに
一枚のぞうきんがあったそうな
汚れを身につけ
洗ってもとれない汚れを誇る
そんなぞうきんが
年度初めに学校に一枚のそうきんを持っていく
そんなしきたりが日本に出来たのはいつからなのだろう
ぞうきんがタオルではなく手拭い製だったころからだろうか
母も、そのまた母も
小学校の長い廊下を競争のようにして
ぞうきんがけをしたのだろうか
高校三年生に進級する娘に
持たせるためのぞうきんを縫う
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