押された背中/坂本瞳子
 
溢れ出した感情は
もはや誰も止めることができず
受け留めてもあげられない

泣きたいときは泣けばいいと
そういうのに似ているのかもしれない

感情が溢れ出したらもう
渇くまで流出させるしかないのだろう

誰も幸せにしないけれど
終止符は打たれる
人と人との関係が絶たれようとも

境い目が欲しい人に押し寄せる
感情の波が防波堤を越える
たったそれだけのことだ

ほんの少し勇気を出して
水たまりを飛び越える
その程度のことだから

行きたまえよ
後ろを振り向かずに
さあ君
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