哀れなAlley Cat/ホロウ・シカエルボク
かった。それが例えば人の使う言葉だとすれば、ひとつの文章からひとつふたつの言葉を抜き出すくらいの、お粗末な借用だった。おまけに解釈を間違えてしまっているので、それは結果的にまるで間違ったものになっているのだった。そう、語彙がなければたとえ言葉を拝借したとて、上手く使うことは出来ない。彼はそういうことを理解出来ないので、何度も同じ間違いを繰り返して、彼を面白がっている連中にさらに笑われるのだった。おまけになにか強迫観念に囚われてでもいるように、同じ境遇の野良どもを懸命に笑い飛ばすのだが、そこいらの連中をひとつ所に集めて眺めてみれば、当の彼が一番汚いだろうことは疑うべくもなかった。まったくの笑い話であ
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