僕らとUFO/霜天
すっかりと未確認飛行物体となってしまった彼女が
少しだけ湿り気のある青空の中を泳いでいる
僕らはそれを見つけては
もうそんな季節だね
と、確かめ合う
動き出さない車の列を、指先の
その柔らかさで押してみる
僕らの、旅立つという辺り
ばたばたと倒れていく景色に
乗り込んで
僕らとUFO
旅について考えることにして
彼女にはもう音は無い
あちらこちらへ消えるように現れて
見えないときにはどこか遠くを
指差してみたりする
僕らとUFO
気まぐれで、いつだって
遠のいていく彼女を見つけては
もうそろそろだね
と、確かめ合う
彼女は光
そんな速さで時間を通過して
つい、立ち止まっては見上げてしまう
僕らの側で
誰かが見たと騒ぐ
僕らは互いで笑い合って
僕らとUFO
旅立つということを、少しだけ
考えてみることにして
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