そこそこ/末下りょう
 
男の人たちはセーターをいじりながら足並みを揃える
朝の折り込みチラシで150グラム321円の生カキをみたとき
ここしばらく冬をおそれすぎてたことを反省した
いつか好きな人の好きな人になれればいい
ずっと大切な人の大切な人でいれればいい

もしかしたらそこそこ物欲しげにしてたのか
ビターでスウィートな口当たりとともに
綺麗なお返しを選んで渡すたのしみももらった

小走りでおでこから冷える午後の小雨をちゃっと曲がると
さやかに濡れた石の鳥居にしっとりもたれて
黄色に近い金色の目をしたガキが待っている
にやにやしてそこそこと指さすブレーキ痕
風は皮膚よりもやや濃い
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