ささくれ立つ蔦の一振り/黒川排除 (oldsoup)
 
くら焼き直しても元の形に戻ることはない
賢者も揺らめく炎の前では泣き崩れるに違いない
カーテンではカーテンのように飛ぶことはできない

いつかきっと思い出すものは 手紙の色ではない
罫線の長さではない 色ではない 質は悪く形はない
逃げて行ったのではなく排水溝に飲み込まれたのだ
かんなで削られた 事実それは少しのとげを含んでいた
黙ることだ 最もうすぎたない形に変わるまで それでも
身を削って書いたとは限らないから 捨て置くのだ

ガムテープで塞いだのは隣人の郵便受けだった
慌ただしく堰を切るのはまさしく道理ではあった
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