花火大会の夜に/梓ゆい
田舎町の空を明るく灯す
年に一度の花火大会。
いつもは走り回る校庭に
ビニールシートを広げて
父が買ってきた焼きそばとタコ焼きを食べながら
南の空を見上げる。
ドーン、と響く地鳴りのような合図で
空いっぱいに咲く大輪の花。
一瞬で消える儚い美しさに魅入られて
焼きそばを食べる私の手はぴたりと止まった。
煙幕と共に
次々と上がる蕾と光りの滝
僅かな夢の時間の中
小さな心の中に
昨日観たディズニー映画のワンシーンが蘇る。
もうすぐ終わる今年の夏休み
父と眺めた夜空に咲く大きな花火の綺麗さは
名残惜しむ人々への粋なプレゼントなのでしょうか。
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