お片付け/梓ゆい
掃除をしたはずの離れは
埃臭くて何処と無く汚い。
段ボール箱を破いて
いくつかのゴミ袋に詰め込んでは見てみたが
こまめに捨てなさい。と呆れる
父のお叱りが聞こえた気がして
久しぶりに開けた窓を見る。
いつもより大きく感じた2つの窓
すぐ側の箪笥には
幼い頃に着ていたパジャマが眠っている。
数回袖を通しただけで
小さくなってしまった。という母の一言で
いつの間にか忘れていった。
ひとつ上の段から出て来た父のジャンパー
所々に穴が開いていて
居なくなった事を悲しんで泣いているかのようだ。
今日一日は晴れの天気予報
ゲートボールを打つ音が
大きな拍手と共に
裏の広場から聞こえてくる。
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