雑草嵐/片野晃司
今日はぴかぴかに舗装されているから、うつぶせのままで背中の上をどんどん歩いていっていいから。夏になればまた雲が次々とやってきて積み重なるから、ふわふわと背中のほうからすこしあたたかくなる。街路樹の根っこの先ががさわさわと指さきに触れて、雨が降れば舗装の割れ目からしっとりとして、胸の奥からふくらんでくる。割れ目からねこじゃらしの穂を出したりひっこめたりして、だれかが落としたコインをこっそりかき集めてみたりして。
手を伸ばせば家々のすきまをぬけて坂道になる。今日はぴかぴかに舗装されているから、買い物の途中だって放浪の途中だって歩いていっていいから、足の裏から指先のほうまでずっと踏んでいっていいか
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