ビショップ/ただのみきや
 
あの陽だまりに置き忘れられた深い裂け目
おれの胃袋はもう紫色の朝へ停泊していた
窓から女が見えた裸のまま
微笑んでいた カメラの前みたいに
ブラインドが降りるまでの一瞬だった
おれはその一瞬でデッサンを仕上げた
カモメが降りて来る皿みたいな目に
クリームがゆるゆる溶けて
たぶん三十九度はあっただろう


昨日も八気筒の男たちがプランターを蹴とばしていた
一塊になった疑似太陽としての日没
複写された文化の粗悪なタトゥー
ジャングルの蛙みたいに美しくて
足の遅い毒薬だったけど
止められない囁きが溢れかえり
分解しようとして壊してしまう
自分(だれか)を見ている
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