丘の上/
乱太郎
紅葉の森を過ぎていくと
ささやかな秋の風の音さえも
白い雲の果てに枯れ落ちていった気がした
また訪れるあの人へ
遠くなってしまったあの人の温もり
忘却の彼方から
舞い降りる晴れ渡る声
今日しっかりと大地を踏みつけた分だけ
あの人と触れ合った気がする
誰もいない
いまはこの上ないひと時を
あの人に
手を合したこの音が聞こえたでしょうか
背中をひるがえすと
丘の上からは
人々の生活が動いているのが見える
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