詩絵/ただのみきや
 
シニイタル(裸の王様の)純白の衣は光を撥ねる
飛沫は激しく辺りに散って眼球も例外ではない
橋は静かに燃えている 赤い闇が河のような朝
盲目に見知らぬ鳥のタクトだけが縄梯子として風に揺蕩い
「握る」という意識のなかシニイタル夢を潰してしまうと
揮発しながら胎児を匂わせる甘い余韻が残った
豊満な光の肢体に自他を区別する殻は剥ぎ取られ
海月のように意識を痺れさせる三月の冷たい熱のままで
鍵穴へと下って往く 時間のうねり捻じれた帯の端っこを
かるく指先で触れる程度 淡いでんりゅう やわらかい針
ぬうようにもぐってはまたあらわれるイト
まるで難破することを望んでいるかのように
{ルビ
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