放心/ヒヤシンス
 

 悲しみを夜空に放って明日が風の向こうに佇んでいる。
 発散できない苦しみを胸に秘め、明るい明日をじっと見つめる。
 希望は憶測の彼方に掠れ、現実の重みに耐えている。
 ペン先は暗がりを好むようで、そして。

 心に負った傷が深いのに愕然とすると明日はその影に隠れてしまう。
 すべてを曝け出した時、初めて朝はやって来るのだろう。
 生きてゆく事の天秤は清い心に傾いている。
 すべては気の持ちようだと素直に言えない心が疼く。

 這い上がりたい、並みで良い。
 やり直したい、あの場所から。
 澱んだ心が泣いている。

 心の矛盾に必死で抗おうとしている。
 明るい明日を迎えたい。
 湿ったペン先が指先に苦しい夜明け前。
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