逃すまじ/
坂本瞳子
ない
喉が鳴りそうだ
乾いていないのに
空腹でもないのに
物凄い音がどこからか響くんじゃないだろうか
痺れてくるんじゃないか
背筋を一直線に下の方から痺れが走り出すんじゃないか
下の方を向きそうなツムジの辺りから放電でもしやしないだろうか
倒れてしまった方が楽だろうに
背中を起こすのか
起きるのか
前を見ろ
目の前に見えるそれが
真実だから
歩を進める
今だ
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