わかる/はるな
 

わかるのは、わからなくてもいいようなことばかりだ。
ききょう、ぴなぴなして頼りない花びら。ここにいる前に、どこにいたのかわかる。前にいた場所からここまでも、きっと歩いてきたはずだけど、どう歩いたかはわからない。
これ以上はもうあふれる、というところをとうに過ぎて、それでもなぜか引き合ってふちにしがみついている水みたいにして、気持ちは繋がろうとする。
わからなくてもいいようなことばかりわかってしまうのは、ちょっと愚かだ。

なにも塗ってない爪はバタなしのトーストみたいにかわいてそっけない。切れない包丁で切ったトマト、熟れた壁に流れるポップミュージック、聞き取れない言語、たぶん陽気な。
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