開拓村/山人
 
をむさぼった
そう、私たちは枯れた夢の子供

一夜の雨が多くの雪量を減らし、ムクドリが穏やかな春を舞う
空気は満たされ、新しい季節が来るのだと微動する
普通であること、それは日常の波がひとつひとつ静かにうねること
それに乗ってほしいと願う
血は切られなければならない
私達の滅びが、新しい血の道へ向けてのおくりものとなる

       *

令和元年 十一月 追記
今年、四十六年続いた大原スキー場はついに幕を閉じることとなった。
枯れたススキが刈り取られることもなく、ただの白い斜面になろうとしている。


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