エリカの缶/もっぷ
 
の最後の灯台守として、この日の未明にこの世を去りました。ミモザの花言葉ですが、どれも感じのよいものばかりのなかで彼が特に好んだのが「友情」だったことを、どうしても皆さんにお伝えしたいと思います。彼は九歳の夏至祭の日に両親を不慮の事故で失い、のちに家庭を持つことになるあのミモザが大好きな女性と恋に落ちるまでは、心を九つのままに成長を止め、傷つき続ける少年期を過ごしたつらい過去を抱えていたのです。おさなかった彼にその日のパンをくれたのは、どんな大人たちでもなくて、似た境遇だった彼女も含め、友人ばかりだったのです。


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