あなたのせいという/本田憲嵩
 
あなたのせいという
急速な風に吹かれて
青葉がつぎつぎと落ちるように
暦が落ちてゆきました


あなたのせいという
見えない伝書鳩が
ひと息いれる暇もなく
夏の星座の下を行き交いました


あなたのせいという
メロンクリームソーダ
あなたのせいという
金色の夕映えの中でたしかにつないだ手と手


そして あなたのせいとはいえない
このうすら寒い部屋の窓枠には
季節はずれの風鈴が
まだぶら下がったままで


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