歯ブラシ/
倉科 然
真冬の寒さに緩く緩く絞め殺される
自覚なく擦り減る命と途方もなく高い空を眺めて
私は人々の摩擦と自意識を感じ取る
血みどろで喜劇的な終わりを迎えたい
あなたのその無自覚な一言で私は消失したい
そんな事を願って私は空虚な午前を過ごす
いつかゴミ箱に捨てられるその時まで
私はあなたの血の味を感じていたい
私になあなたしかいないがあなたには私以外が存在する
あなたの自意識の根底にある挙動一つで私は消滅したい
戻る
編
削
Point
(1)