絵画というもの/桜 葉一
 
少女は画用紙に赤いクレヨンで仕上げをはじめる

彼はその後ろでにっこりと少女を見つめている

自分の娘の絵の才能を誇らしく思っているのだろう

私は少女を正面に見つめながら

彼女の真剣なまなざしを見る

赤いクレヨンは私の唇に色を与え

私はもうじき完成する
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