悲しみの展開図/ただのみきや
 

――よし できた

 《――なんで太陽から棒が出てるんだ? 》

「リンゴ! それは」

 《雲とリンゴは分かるけど どうして悪魔なんか…… 》

「悪魔じゃねえ猫だよバカ! 」

 《――猫? どう見ても地獄の鬼だろう》

「ネコ!ネコ!ネコ!ネコ!ネコだよブタ野郎! 」


四の五の言っているあいだに作業は終わり
展開されたものを もう一度 立体にする
悲しみの箱 少しだけ 小さくなっていた
まだ両手で抱えるほどの大きさだけど
もう中に隠れることはできないようだ
雑な切り口やテープの痕の不細工さが目立ったが
ところどころで
大好きなものたちが励ま
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