悲しみの展開図/ただのみきや
――よし できた
《――なんで太陽から棒が出てるんだ? 》
「リンゴ! それは」
《雲とリンゴは分かるけど どうして悪魔なんか…… 》
「悪魔じゃねえ猫だよバカ! 」
《――猫? どう見ても地獄の鬼だろう》
「ネコ!ネコ!ネコ!ネコ!ネコだよブタ野郎! 」
四の五の言っているあいだに作業は終わり
展開されたものを もう一度 立体にする
悲しみの箱 少しだけ 小さくなっていた
まだ両手で抱えるほどの大きさだけど
もう中に隠れることはできないようだ
雑な切り口やテープの痕の不細工さが目立ったが
ところどころで
大好きなものたちが励ま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(17)