窓/点在するワームホール/桂
不安は広がっていく
彼女はテーブルの上に置いてあった
お世辞にも綺麗とはいえない折り紙の鶴を手にとって気を紛らわす
トン トンと窓を叩く音がして
彼女が。振り向くと
下手くそな鶴の作り主が笑って窓を覗き込んでいる
少女は目を丸くして窓を開ける
「ここ4階だよ」
彼女がそういうと少年は不機嫌そうに
「馬鹿にするなよ 数くらい数えれるよ」と答える
「怒られるよ?」
「それはいつものことだよ もう慣れてる」
少年がニタっと笑って一本抜けた歯を見せると彼女の不安はとっくに消えていて彼と一緒になってゲラゲラと笑う
看護婦が二人の病室の前を通る
笑い声の響く病室の前で少し立ち止まって呆れた顔で呟く
「あと一時間だけ 放っておいてあげるわ」
戻る 編 削 Point(1)