not sepia/青の群れ
 
デパートの屋上で子供の頃の願望が簡単に拾えてしまう
少し汚れたパンダにまたがって、ためらいなくコインを入れた
童心に帰るほど、帰らなきゃいけない距離ができたこと

まだ寒い春の昼間に
花粉症で目が潤んだり、鼻をすんすんと鳴らす
誰もいないから、けらけらと笑いながら
パンダにまたがる自分を客観視している

四歳くらいの私が幼稚園の先生をおばさんだと思っていたね
はい、はい、うんうん、そうだねえ
おばさんをおばさんと呼ばないために
聞き流す技術を身につけるために
子供の頃の不満や理不尽は大人になるために必要だったんだよ

もうたぶんとっくの昔に愚かさを捨てて
私達には振
[次のページ]
戻る   Point(12)