新雪を汚すことだ/天野茂典
曖昧な物に名前をつけてゆく
切り取ってゆく
詩を書くことは名前を奪うことだ
いままでなかった感情や
世界にツバをつけることだ
新雪を汚すことだ
そのことばの範囲はない
無限だ
無限のなかから
ことばを立ち上げるのだ
ネギならネギ
誰のものでもない
自分のネギを所有するのだ
ネギ間にして焼いてもらい
いっぱいやるのもいい
自分で獲得した文字だから
洗われたものなのだ
しかしあらゆるテキストから
潔白である必要がある
誰でも使用可能な言語ではない
独自のものだ
新しいところに出ている文字は
ビールが好きだ
ネギ間とビールで
宴会ができる
新領土
鉄条網を破ってそこに到達したものが
この宴会に加わることができるのだ
さてお花見の計画でもたてるか
2005・03・07
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