くずのつる/為平 澪
 
にも寒いものだと
身体に教えてくれた二人の少女の姿は
夏と冬の池にカタチを滅ぼされたまま
水に浮かんで背を向けたままで顔は閉ざされた

(どこかで響くサイレンが・・・
(夜の号泣にも似て、朝の警笛にも似て、


浸かってしまえばよかったのだ 私など
もっと深みに沈んでしまえ 頭など
けれど、
くずのつる、

老いて乾いた細いくずのつる一本に芽吹く友の悲涙の尖り
その悲愴なまでの憤りが私を時代の群れに還らせる

(まだ、戦えと、まだ闘えというのか、
(捨てられたものよ、また、打ち捨てられるために、
(―――――――へ、と、


くずのつる、の、
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