畑作り/梓ゆい
 
父が育てたジャガイモをふかして食べた。
潰したジャガイモに
マヨネーズとハムを混ぜ込んで。

腹が膨れて横になっていたら
父が畑から帰ってきた。
シャワーを浴びた後
気持ちよさそうに頭を拭いて。

「お父さんごちそうさま。」
嬉しそうに笑う眼鏡越しの父の瞳
今度はバターを塗って
ふかしたジャガイモを半分に分ける。
大きな口を開けて頬張る
娘たちの顔を見るために。

溶け出したバターがゆっくりと皿の上へ流れ落ちる。
父のジャガイモに見劣りしない
色濃く濃厚な国産バター。


戻る   Point(2)