手/ただのみきや
 
馴染みの店
昔よく通った
ご機嫌なわたしがいる
酔いもほどよくまわり饒舌な
周囲の客も常連で顔なじみのよう
隣には友人が
顔はよく見えない――とにかく古い友人が
わたしは羽振りが良く
何人かに酒を勧め
得意になって話題を振りまいた
「価値のないものに金を払うのはまっぴら!
「無駄なことに時間を使うのもね
「愛するに値しない人間を愛するのはおかしいだろう
「赦す? なんのために
友人は黙ってわたしを見ていた
微笑んでいるようでもあり
悲しんでいるようでもあり
険しくはないが
臆してもいなかった
わたしは友の同意を求め彼の肩に手を置いて
言った
「価値のない連
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