ボトルシップ(short ver.2)/本田憲嵩
 

いずれ途切れてしまうようなことからは、

直視、をこばんでいる、埃っぽい部屋のなかで、

ガレキのように積みあげられてゆく、粗末なボトルシップ、

木製の机のうえの、白いコーヒーカップの底には、

泥のように茶色い粉末が、ぬかるんだ匂いで、「停滞」、

をいつも暗示している、

夜はそのくろい髪をながくたなびかせている、

赤茶けたカーテンをめくって覗く、

窓のむこうの電柱、電球の切れかかった外灯が、

ぱちぱちと青白く点滅しているのを、ひとり、

ぼんやりと眺めている、


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