はじめての手紙たち/吉岡ペペロ
 
ダイナミックな荒々しさや悲しみは

フランス喜劇に鑿ふるわれて

ひとや自然や建物は小景に繊細に描かれていく

口からこぼれる呻きや

木々が風に鳴る音や

建物がたてる静けさは

もう同列のだれにでも訪れる

ダイナミックな荒々しさや悲しみであり

喜劇の跡であり

繊細に描かれたひとや自然や建物だった


彼に出会ったのは30年前

はじめて手紙を挟んだのも彼だった

はじめて手紙を挟まれたのも彼だった

その彼をとある月報に見つけたとき

彼が描く浄めきられた物語を夢想した

のちに彼はその一部のそのまた一部を描いたのだが


ダイナミックな荒々しさや悲しみは

フランス喜劇に鑿ふるわれて

ひとや自然や建物は小景に繊細に描かれていく

口からこぼれる呻きや

木々が風に鳴る音や

建物がたてる静けさは

もう同列のだれにでも訪れる

ダイナミックな荒々しさや悲しみであり

喜劇の跡であり

繊細に描かれたひとや自然や建物だった







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