社会の告白/イオン
電車を待っていたら
隣にいた男が急に話し出した
「あなたはこれからも
騙されたと思って
騙されてください
信じてくれていたなら
信じ続けてください」
「なっ、なんですか?」
「社会はそれができる人だと
あなたを信じているから
やっている事なのです
あなたは変わってはいけない」
「あの、人違いでは?」
「いえ、安田さん
私は社会です
これからもあなたを騙し続けますが
騙されたと思っても
騙され続けたほうが幸せです」
そう言い残して
ホームの階段を駆け上がり消えて行った
突然過ぎて言葉を失ってたら
電車が入ってきてドアが開いた
降りて来た男がすれ違いざまにつぶやいた
「あなたを信じています」
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