炎の遊戯/ただのみきや
んで
見えることから 去り過ぎる
すばやい有り様
感情すら手をこまぬいて
――魅了される
瞬く間の白煙の立ち振る舞いに
なにかを 見たような
思いすら 形を決めかね
空白だけが 積み上がり
記憶の造形は驚くほど
まるで意地悪く
よく見たい時はぼやけさせ
見たくないものほど写実的に
よけいな陰影まで添えて差し出し
たぶんすべてが
予兆であり預言
だとしなくても
炎の向こう
十分に暗い海だから
漂着物が
水死体が
流れついて
得体の知れない蠢くものが
憑依するのだから
謎めく嘘で心から
愛する人の死を悼み
そこに置き去られて朽ち果てる
花輪の役目を果たしたい
そのための練習たぶん
これらすべての行為が
などと嘯いて
《炎の遊戯:2017年2月11日》
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