朝の微睡み/
……とある蛙
朝の微睡みの中
腹の上に行儀良く座っている黒猫
薄く開けた眼の先には
彼女の瞳がある。
夢と現(うつつ)を行き来するうち
そのまま抜け出した僕の意識は
彼女の瞳の中に落下する。
猫の吐息と寝息の外に
分厚い日常の空気の層が
僕の意識を潰そうとする。
起きてしまえば日常の空気の層に
のめり込むでもなく
入り込む。
そこから時計の針が何ごともなく正確に動き出すのだ。
一日が終わって酒の中におぼれた
自分が瞼を閉じるまで。
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