部屋、または砂の花 あるいは孔雀じゃなかった鶏/はるな
 
窓もないかわりに、どんどん拡がっている。広くなりすぎた部屋のなかにちいさな灰色の部屋をつくるけれども、それも徐々に拡がっていく。うすい空気を寄せ集めてまたちいさな部屋をつくる、小さな部屋に小さな花瓶を置き、砂でつくった花を活ける。花は枯れないが咲きもせず、蕾をつくることも実を結ぶこともない。愛している、というと少し崩れる。

 わたしはまだ転がる前の美しくない石だと思っていた、自分のことを、あるいは鶏とか窓枠みたいに思っていた。まだ美しくないのだと思っていた。でももしかしたら部屋なのかもしれない。窓も扉もなく、いくつかの穴だけをもって女と言い張る部屋なのかもしれない。淋しくて着飾るならまだしも、孔雀と思って羽根をふるの。そうだったらきっと、鶏よりはすこし高く飛べるはずなのに。
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