部屋、または砂の花 あるいは孔雀じゃなかった鶏/はるな
孔雀が羽根をふるように着飾る女あるいは男。よなよな磨いたことばが立ち上がった拍子に手からこぼれて、そのまま坂道を転がりおちていくのを見ていた。ちょっとおもしろいふうな気持で。それはまるくとがって、だんだん四角くなって、最後に三角になってしまう。海辺の砂とおなじに降り積もって、おもたく足首に絡んでくる。海のひとや舟のひとをうらやましく眺めながら、ことばなんて使うんじゃなかったと思う、思いながらまた考えている。どんなにこまかく砕けても、濡れてはうじゃうじゃと固まって、崩れながら考えている。
灰色の部屋はそもそもの初めからそこにあって、というかここも灰色の部屋の中なのだし、扉もなければ窓も
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