Fw:/末下りょう
 
る餌のありかを明かされ
怖じ気づいた目の
おどけた孤独をおぼえました

あれらから逃げだすものが
腹の冷えたぼくになるのは今日の終わりです
火照るヨーヨーの
波紋が痛いので
母ちゃんの裁縫箱を蹴り倒して
焦げたカラスが鳴きわめく熟れた空に
手を伸ばす今日の終わりです



シアトル─

シアトルの、熱いコーヒーの湯気が
通りの敷石を緑に濡らしている
雨の根ざす古道のように

誰にも待たされたことのない彼女からは
木漏れ日がゆらめき
力が抜けていった  、
微かな笑みが葉陰を散らす

肩につくほどの髪を束ねなおしてから 
べつの匂いを
道連れに
翠苔を
踏み  、

椅子を下りると
意外に背の高い彼女の
飲みかけのコーヒー


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