パンクの意味/鈴置友也
 
。だけれどもそれは所詮、人々の認識としてのベースにあるのは、国家の未来とか生活とか自由とか、そこら辺に根ざしていた。それらの音楽は地球全体を見てもいなかったし、冷戦構造のあとの瓦解した理想の泥沼と屈辱を経験してもいなかった。

ソビエトの崩壊をきっかけとして、現在のキューバの路線変更に至る一連の歩みは、パンクを下支えする思想的な基盤を奪っていった。結局、生活への不満が出てきたときに、人の関心が現状否定をしたいと思った時に、それを正当化する大義がなくなってしまった。社会主義が崩壊して行くなかで、ベル・アンド・セバスチャンのようにほとんど狂信的に根拠のなくなってしまった左翼思想に情熱を注ぎ続けるこ
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