希望について/カワグチタケシ
 
あるだろう。それでも死にたいやつは脚立持参で来る」。十数分後、警察と消防がサイレンを鳴らさずやって来て、遺体を収容して帰った。
 そんなことが数か月に一度は起こる。もうすっかり慣れてしまった。公園の名前を検索すると自殺の名所と書いてあるのだ。所長は言う「自殺者には2種類いてな。誰かに死体を見つけてもらいたいやつがうちに来るんだ」。

 午前10時から午後7時まで、一定のスピードでゴンドラは回転し続ける。車椅子や杖をついたご老人を乗車させるときにだけ、数十秒間回転を停める。ゴンドラ内に流すBGMもそんなときに乗客を不安にさせないツールのひとつだ(もちろん点検時には流さない)。
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