夢夜、二 「春祭りの日に」/田中修子
私は、革命家の仲間である老女に引き取られ、地下の白骨堂に忍んで生きてきた。
残された本にこの国や外国の歴史を学び、人を殺すすべはすべて教えられた。
それだけに受けた生であったから、地上の世界はあまり知らない。
私が殺さねばならない、特に不思議な力の強い王家の四人の肖像画は、白骨堂に飾られていた。
桃色につやつや光る頬をして、でっぷり肥った、しかし人のよさそうな顔をした飽食の王。
人々の血税から作り上げられた、宝石で編まれたドレスをまとうきつそうだが賢そうな顔立ちの女王、まだ十代になるかならないかの、無邪気に笑うかわいらしい王女。
大理石作りの湯殿で、豪勢な花を浮かべて
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