夢夜、二 「春祭りの日に」/田中修子
 
べて湯浴みと女遊びをやめぬという、そうは見えないどこか儚げで柔和な顔立ちの王子。二十になるかならないか、私と同じ年頃であろうか。

 老女とふたりきりの白骨堂で、動かぬ肖像画の王家の四人は、まるで私を見守る、私の家族のようにも思われた。いずれこの手であやめなければならぬ、愛しい家族。

 その日はやってきた。
 私を育てた老女が、大きなきれいな包みを持ち、いつもと違う優しい様子で私のもとに来た。
 私の、修行でズタボロになった、着慣れた服を脱がし、良い香りのする湯を染み込ませた布で体を拭く。そうして、見たこともない、銀色の華やかな衣装を着せてくれた。伸ばしっぱなしのボサボサで、腰まであ
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