光の街/末下りょう
きみのためになにも流されないような夜には
何処にも行き場がない
すべてのネオンサインに照らされて
きみは光の街のなかで成長していく
だからせめて泣き止んでいてほしい
安らげる誰かの隣に居てほしい
ネオンの膨らみは絶えずきらびやかな点描を
せわしなく行き交わせている
明るく呼び掛けられるたびに
なにも見えなくなり
とにかくなにかを聞き返しては
ぼんやりと何処かに回収されていく
完璧な行き先があるのかは知らないけれど
抜け目のない者たちとの華やかな駆け引きに酔えれば
何処にだって出向いていける
光の街にきみを見つけられる
誰かが破いたきみの服を
きみが
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